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人権デューデリジェンスとは?海外の動きも紹介

執筆者の写真: 秀馬 原田秀馬 原田

人権デューデリジェンスとは?

お母さんに微笑む娘

人権デューデリジェンスは、企業が自らの事業活動やサプライチェーンにおける人権リスクを特定、評価し、それに対する対策を講じるプロセスを指します。これは単なる法的義務を超えて、企業の社会的責任としての側面も持っています。


人権デューデリジェンスの背景と重要性

近年、グローバル化が進む中で、企業の事業活動が人権に与える影響が注目されています。特に、新興国での事業展開において、人権保護が不十分な状況下での労働問題や環境問題が発生しているケースが増えています。このような背景から、企業が人権を尊重する取り組みを行うことが、国際社会から求められているのです。


海外の人権デューデリジェンスの動き

地球儀

近年、国際的な舞台で人権デューデリジェンスの重要性が高まっています。特に、欧州や北米を中心に、企業の人権に関する責任が強調されている背景には、グローバル化の進展とともに、企業のサプライチェーンが複雑化し、多様な国や地域に広がっていることが挙げられます。

欧州連合(EU)では、企業に対して人権デューデリジェンスを義務付ける法的枠組みの検討が進められています。この動きは、企業が自らのサプライチェーンにおける人権リスクを特定し、それに対する対策を講じることを法的に求めるものです。具体的には、EUの加盟国において、大企業を中心に、人権デューデリジェンスの実施が義務付けられる方向で議論が進められています。

北米、特にアメリカでは、企業の社会的責任(CSR)に関する取り組みが進んでおり、人権デューデリジェンスもその一環として注目されています。アメリカの大手企業の多くは、自らのサプライチェーンにおける人権リスクを評価し、それに対する取り組みを公表しています。

また、オーストラリアやカナダなど、資源産業が盛んな国々でも、企業の海外事業における人権リスクの管理が重要視されています。これらの国々では、特に鉱山業や石油・ガス業における人権問題が焦点となっており、企業に対する人権デューデリジェンスの実施が求められています。

このように、世界各地で人権デューデリジェンスに関する取り組みが進められており、企業は国際的な基準やガイドラインに従い、継続的な取り組みを行う必要があります。


法的要件と義務

人権デューデリジェンスに関する法的要件は、国や地域によって異なりますが、多くの国で、企業に対して人権を尊重する義務が課されています。特に、欧州では、企業がサプライチェーンにおける人権リスクを評価し、それに対する対策を講じることが求められています。


関連する国際的なガイドラインと基準

国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」や、OECDの「多国籍企業の行動に関する指導原則」など、人権デューデリジェンスに関する国際的なガイドラインや基準が存在します。これらのガイドラインは、企業が人権を尊重するための行動の指針として利用されています。


人権デューデリジェンスの具体的なプロセス

プロセスを考える社員たち

人権デューデリジェンスは、企業が自らの事業活動やサプライチェーンにおける人権リスクを特定、評価、軽減、報告するプロセスを指します。以下は、人権デューデリジェンスを実施する際の具体的な項目やステップになります。

  1. リスクの特定: まず、企業の事業活動やサプライチェーンにおける潜在的な人権リスクを特定します。これには、労働条件、健康・安全、環境問題、先住民の権利など、多岐にわたるテーマが含まれます。

  2. リスクの評価: 特定されたリスクを評価し、その重大性や影響の大きさを判断します。この段階で、どのリスクが最も優先的に取り組むべきかを決定します。

  3. 対策の策定: 評価されたリスクに対して、具体的な対策やアクションプランを策定します。これには、リスクを軽減するための方針や手段、関連するステークホルダーとの協力方法などが考慮されます。

  4. 実施とモニタリング: 策定された対策を実施し、その効果や進捗状況を定期的にモニタリングします。必要に応じて、対策を見直しや改善を行います。

  5. コミュニケーション: 企業は、人権デューデリジェンスの取り組みや結果を、関連するステークホルダーや一般の利害関係者に対して透明に報告する必要があります。これには、サステナビリティレポートや専用のウェブサイトなどが利用されます。

  6. 継続的な見直し: 人権デューデリジェンスは、一度行ったら終わりではありません。継続的にリスクの特定や評価を行い、新たなリスクや変化する状況に対応するための見直しを行います。

  7. 関連するステークホルダーとの対話: 企業は、関連するステークホルダーとの対話や協力を通じて、人権デューデリジェンスの取り組みを強化します。これには、地域社会、NGO、労働組合、専門家など、多岐にわたるステークホルダーとの連携が求められます。

これらの項目やステップを通じて、企業は人権リスクの管理と、持続可能な経営を実現することができます。

成功事例とベストプラクティス

アシックスは、人権方針を策定し、継続的に人権を巡る状況を把握して管理するための人権委員会を設置しています。このような取り組みにより、企業は人権リスクの早期発見と対応が可能となります。


今後の人権デューデリジェンスの在り方

人権デューデリジェンスは、今後も企業の経営課題として重要性を増していくと予想されます。特に、グローバルなサプライチェーンの中で、企業が人権をどのように尊重していくかが、企業のブランド価値やリスク管理に直結するため、継続的な取り組みが求められます。


まとめ:人権デューデリジェンスは日本でも大切になる

人権デューデリジェンスは、企業が社会的責任を果たすための重要な取り組みです。国際的なガイドラインや基準に従い、継続的な取り組みを行うことで、企業は人権リスクの管理と、持続可能な経営を実現することができます。


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